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スマートなダブルクリップ

スマートなダブルクリップ

コクヨデザインアワード2018優秀賞受賞作品

たくさんの紙を手軽に固定できるダブルクリップは、資料を作成するのにとても便利です。一方で、閲覧する際にはめくる動作の邪魔をしてしまいます。

「スマートなダブルクリップ」は、紙をめくる時に角に生まれる三角形の余白と形状を揃える事で、邪魔にならずガイドとして機能します。消費者のその先で使用する人のことを考えた、新しいダブルクリップの提案です。

こちらでは商品化に至るストーリーをご紹介しています。お買い物はページ最下部へ。

新たなユーザーの視点

2018年コクヨデザインアワードで優秀賞に選ばれた「スマートなダブルクリップ」。作者は、応募当時に社会人6年めで、内装・インテリアの会社に勤めていた豊福昭宏さんです。

「プロダクトデザインを専攻していた学生時代からコクヨデザインアワードに応募し続けており、6回目のチャレンジでした」と豊福さん。

2018年のテーマ「BEYOND BOUNDARIES」に対して、110年以上も前に米国で発明されたダブルクリップを取り上げ、「それではさまれた紙を閲覧する人」という新たなユーザーの視点で形状を再考しました。「まずダブルクリップで紙をはさむユーザーがいて、その先にその紙を閲覧するユーザーがいる。二通りの使われ方があるのに、後者にはあまり適していないと感じて、そこから詰めていきました」。

商品化に向けて立ちはだかる壁

板バネ(紙をはさむ黒い部分)と線バネ(指でつまむワイヤーの部分)というたった2つのパーツから成るシンプルなプロダクトですが、いざ製品化プロジェクトがスタートしてみると、次から次へと課題が出てきました。

ひとつめの大きな課題は「量産」です。
旧来のダブルクリップと「スマートなダブルクリップ」は似ているようで構造も作り方も異なるため、既存のダブルクリップの量産工場では作ることができません。

商品化を担当したコクヨの本間愛彩は、「通常のダブルクリップは線バネを両端から押さえてギュッと縮めて、内側から板バネの穴にはめて組み立てるのですが、『スマートなダブルクリップ』は線バネを外側から入れる構造のため、既存の自動機械では対応するのが難しかった」と言います。

この部分は自動化をあきらめ、手作業で対応できる工場を探すのに時間がかかりました。

紙を綴じる品質にも課題が

もうひとつの課題は「品質」です。コクヨではすべての製品が厳しい品質試験をクリアしてから世に出ていきます。同じように「スマートなダブルクリップ」も試作段階で品質試験を受けましたが、一度にたくさんの枚数をはさんで数時間おくと口が開いてしまい、少ない枚数を綴じられなくなるという形状維持力の問題が浮き彫りになりました。

「このままでは商品化を進めることができないため、工場を変えるなどして解決しようとしたのですが…」と本間。ところが工場が変わると設備も変わるため、また別の問題が発生するという負のスパイラルに。ここでかなりの時間が経ってしまったのです。

(写真はサンプルの数々。左から順に、さまざまな形状や構造、材料を試している)

極めつけの課題は表面処理

きわめつけの課題は「表面処理」でした。「なんとか、線バネを手作業でセットしてくれる工場は見つかったのですが、その工場では表面処理まではカバーしていなかったんです」と本間。板バネの表面をクリア塗装したところムラが出てしまい、コクヨ製品のクオリティに達していませんでした。

本間はこの工程を担える工場を探し、板バネと線バネの製造拠点であるベトナムで8社にコンタクトを取りました。しかし試作を進めてみても、どの工場も一長一短があり断念せざるを得なかったのです。ベトナムは諦めて、国内での加工に戻すことにしましたが、そこでは表面処理による負荷で板バネが破損してしまうという絶望的な事態に。

豊福さんも、「ようやく国内で製造できそう、とサンプルを送ってもらった直後だったので、今度こそもう無理なのでは、と思いました」。

(写真は表面処理を施した板バネのサンプル。ムラが出たり、破損したりとさまざまな問題があった)

それでも諦めずに続ける

豊福さんがコクヨデザインアワードへの応募をあきらめることなく、6回目にして受賞したのと同じように、本間にも「商品化をあきらめない」という強い想いがありました。

「当時入社2年目で、新製品を任せていただけることがうれしかったんです」と本間。「デザインアワードの商品化って、業務での商品開発とはまた違うプロセスや人々の想いが詰まっています。だからなんとか実現しかった。どんな難題が降りかかっても、あきらめるという選択肢はなかったですね」。

プロジェクトの進捗は常に上司に報告しており、「これ以上は難しい」と言えば、商品化は立ち消えになっていたかもしれません。「このプロジェクトを通して、ものづくりの難しさを学びました。でも信念をもって動き続ければ、工場もあきらめずに提案してくれるし、上司も『やってみなさい』と見守ってくれる。豊福さんはじめ、人々の想いがこもったものを商品化できて本当によかったです」。

多くの人の思いに支えられ商品化~グッドデザイン金賞も受賞~

商品化に費やした年月は約4年。製造工場や品質試験の関係者など多くの人の思いに支えられて、「スマートなダブルクリップ」は2023年3月、商品として発売されました。

2023年10月には、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2023年度グッドデザイン賞で見事「グッドデザイン金賞」を受賞。

手に取っていただく方からも口々に「こんなクリップを待っていた」「そういえばストレスだった」という声。

見た目のデザインだけではなく、使う人の意識下にあった不満を解消する商品として高く評価されています。

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    紙をめくる時に角に生まれる三角形の余白と形状を揃える事で、 邪魔にならずガイドとして機能する「スマートなダブルクリップ」。商品化ストーリーと共にお届けします。