川村真司 「フラットな2色使いのポテンシャル」
- 川村真司
- Whateverチーフクリエイティブオフィサー/共同創設者
BBH、180、Wieden & Kennedyといった世界のクリエイティブエージェンシーでクリエイティブディレクターを歴任した後、クリエイティブ・ラボPARTYを設立。そこでクリエイティブディレクターであると同時にPARTY
NY及びTaipeiのCEOを兼任し全てのグローバルビジネスを担当した後、2019年新たなクリエイティブスタジオWhateverを設立し、チーフクリエイティブオフィサーに就任。数々のグローバルブランドのキャンペーン企画を始め、プロダクトデザイン、テレビ番組開発、ミュージックビデオの演出など活動は多岐に渡る。カンヌ広告祭をはじめとした世界の数々の賞を受賞し、アメリカの雑誌Creativityの「世界のクリエイター50人」やFast
Company「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」、AERA「日本を突破する100人」などにも選出されている。
「アイデア出しに使ってみました」。とノートを見せてくれた川村真司さん。そこには白と黒で描かれた、楽しそうなラフスケッチが。撮影をお願いすると、「これ見せちゃって大丈夫かな(笑)」と。リアルなアイデア出しに使ってくださっていました。
川村真司さん(以下、川村)ステキなプロダクトですよね。実際に使ってみると、正直なところ審査の時の印象よりずっと良いです。言葉でうまく説明できないんですが、描いたときの美しさや良いアイデアにまとめられた感が想像以上です。
黒ベースで白でハイライトやアンダーラインを入れたり、黒枠の中にコンテンツを白で表現したり、ノートに臨場感のある絵が広がっています。
川村打ち合わせでチームのメンバーに見せたら、どうでもいい内容でも、なんかアイデアがある感じに見えると言われました(笑)。白と黒によって独特なかっこいい世界観がつくれるのが効いているのかもしれません。
白と黒の使い分けのルールはありますか?
川村今はまだ試行錯誤の段階で、単純に見た目の美しさや、なんかカッコよく感じるので使いたくなっていますが、クリティカルに2色ないといけない、というところにはたどり着いていないです。もっと使い込むと、自分なりのルールが出てくるかもしれません。
デジタルクリエイティブの作品も多い川村さんですが、普段PCと手描きはどのように使い分けているのでしょうか。
川村半々ぐらいですかね。デジタルでのプレゼンが多いので、まとめるときの手間とかを考えるとPCやタブレットを使うことも多いのですが、アイデアを出すタイミングでは本来は紙と筆記具を使う方が好き。デジタルツールと比べて、ノートを使うときの何の気なしに自分の指を動かして、ペンが走ってインクが紙に乗って、みたいな無意識な思考フローの方が脳細胞を活性化するのにとって自然な気がするし、発想も膨らみやすいと思っています。
自然な思考という部分では、白と黒を切り替える行為は、発想を邪魔しませんか。
川村あまり気にしていなかったですが、どこを白に?何を黒に?と都度考えながら使うので、黒1色で書き殴っちゃう方が自然かもしれません。ただ、強調したいところやテンションを変えたいところをもう一つのレイヤーとして、情報を切り替えながら記述していくというのは、今まであまりやったことがなかったし、このノートだからできること。
白と黒の世界によるアウトプットの楽しさや美しさだけでなく、思考を整理する際の自分なりの境目が見つかると、よりこのノートの真価が発揮されそうです。
川村今まで2色の使い分けというと、黒い文字を赤ペンでマークして目立たせるとかはありましたけど、そういった使い方とは少し違う。モノトーンなので、よりフラットにレイヤー分けすることができます。そのあたりと自分なりの使いやすさが結びつくと、さらに新しいポテンシャルが広がるように思います。